大型ゴキブリは外からやって来る
オレの学生時代(1970年代後半)、ゴキブリ対策といえば粘着シートのゴキブリホイホイが主流だった。夏休みに1カ月ほど帰省したのちに東京に戻ってくると、大小とりまぜて50匹くらいのゴキブリが粘着シートに引っ付いていた。あんまり数が多いから、ちょっと感動した。大型のゴキブリはその状態でも生きていて、触覚をヒコヒコ動かしていた。
50匹のゴキブリを収容したゴキブリホイホイにはもう足の踏み場はない。捨てるしかないけど、なんか面倒くさくてそのまま部屋に置いておいた。で、酔っ払って帰宅してはゴキブリ満載の粘着シートを踏んづけ、次の朝にはゴキブリホイホイを元通り成型するってことを何度も繰り返していた。捨てちゃえばいいのに。ほかのゴミはきちんと捨てているのに。ゴミ集積所は、アパート(松原荘)の玄関を開け2歩あるいて木戸を開けたら2メートル右の電柱のところだから、パンツ一丁だってゴミ出しできたのに。
今現在住んでいるところ(京王線代田橋駅から徒歩1分の6畳ひと間)も、ごく近くにゴミ集積所がある。ごく近くというか、アパートの敷地の一角がゴミ集積所になっている。オレが住んでる201号室は道路の反対側にあるが、道路に面した203号室だったら、窓からゴミ袋を放り投げればいい。
オレはなぜか、ゴミ集積所にだけは恵まれている。ただそのゴミ集積所には、まだまだ寒い3月くらいからデカい黒ゴキブリがチラホラ出没し始め、夏の盛りともなると通りかかるたびに黒光りした姿を見かけるほどになるのである。
そんなわけで、部屋に住みついた中・小型のゴキブリは駆除できても、夏になるとデカい黒ゴキブリがときどきオレの部屋にやって来るんだよね。
侵入経路は、全開にした窓か、上下に7、8ミリほど隙間のあるドア。
全開にした窓の1.5メートルほど先には大家さんちの壁があり、よくそこに黒ゴキブリがへばりついている。この場合、輪ゴムを指に引っ掛けて飛ばし、追っ払う。窓から体を乗り出し、できるだけゴキブリに近づいて狙うので、命中とはいかないまでもけっこう近くに着弾する。危険を感じたゴキブリが50センチほど移動したら、また同じ攻撃を繰り返す。輪ゴムがもったいないので、最終的には傘で突っついて追っ払う。
なんか気配を感じて目をやったら窓の下枠に乗っかったゴキブリが触覚を動かしていたこともあった。このときはバタバタ大騒ぎしてなんとか外へ追っ払った。
夏の間、豪雨のとき以外は窓を開けっ放しにしているので、オレが気づかないうちにゴキブリは入り込んで、オレに知られることなく部屋から出て行ってるんだろう。
ゴキブリはドアの下の隙間からも侵入してくる。
夜遅く、そろそろ寝ようかと明かりを消して布団に横になる。
と、ドアのあたりになんか気配。
7、8ミリほど開いたドアの下の隙間を見ると、廊下の明かりをバックに恐怖のシルエット。
うわっ、ゴキブリだ!
黒い侵入者は、部屋の中の様子をうかがうように触覚をうごめかす。
対応をあやまると、部屋への侵入を許すことになる。
布団に寝たまま新聞紙をドアに投げつける、というのが最も簡単な対応だが、ドアに衝撃を与えた瞬間にゴキブリが暗い部屋の中に逃げ込む確率が高い。
そこでオレは起き上がって部屋の明かりを点け、新聞紙を棒状に丸めてドアに近づく。
体勢は、いざというときにすぐに動けるように中腰。
ヤツがいたあたりを狙って、新聞紙をバシっと叩きつけるつもりだ。
ヤツはドアの下の隙間にいるので、直接叩くことはできないが、新聞紙によって部屋への進入経路はふさがれることになるのだから、必然的にヤツは廊下側へと逃げ出すはずだ。
もしヤツがドアの下で、左右どちらかに移動していたら……。
だとしても、超ローアングルのゴキブリ目線でドアの下の隙間を覗き込む勇気なんてない。
きっとヤツはまだそこにいる。
オレは新聞紙で叩いた。
バシッ!
うわっ!
…もう、がっかり。
初出:2009年7月12日
オレの学生時代(1970年代後半)、ゴキブリ対策といえば粘着シートのゴキブリホイホイが主流だった。夏休みに1カ月ほど帰省したのちに東京に戻ってくると、大小とりまぜて50匹くらいのゴキブリが粘着シートに引っ付いていた。あんまり数が多いから、ちょっと感動した。大型のゴキブリはその状態でも生きていて、触覚をヒコヒコ動かしていた。
50匹のゴキブリを収容したゴキブリホイホイにはもう足の踏み場はない。捨てるしかないけど、なんか面倒くさくてそのまま部屋に置いておいた。で、酔っ払って帰宅してはゴキブリ満載の粘着シートを踏んづけ、次の朝にはゴキブリホイホイを元通り成型するってことを何度も繰り返していた。捨てちゃえばいいのに。ほかのゴミはきちんと捨てているのに。ゴミ集積所は、アパート(松原荘)の玄関を開け2歩あるいて木戸を開けたら2メートル右の電柱のところだから、パンツ一丁だってゴミ出しできたのに。
今現在住んでいるところ(京王線代田橋駅から徒歩1分の6畳ひと間)も、ごく近くにゴミ集積所がある。ごく近くというか、アパートの敷地の一角がゴミ集積所になっている。オレが住んでる201号室は道路の反対側にあるが、道路に面した203号室だったら、窓からゴミ袋を放り投げればいい。
オレはなぜか、ゴミ集積所にだけは恵まれている。ただそのゴミ集積所には、まだまだ寒い3月くらいからデカい黒ゴキブリがチラホラ出没し始め、夏の盛りともなると通りかかるたびに黒光りした姿を見かけるほどになるのである。
そんなわけで、部屋に住みついた中・小型のゴキブリは駆除できても、夏になるとデカい黒ゴキブリがときどきオレの部屋にやって来るんだよね。
侵入経路は、全開にした窓か、上下に7、8ミリほど隙間のあるドア。
全開にした窓の1.5メートルほど先には大家さんちの壁があり、よくそこに黒ゴキブリがへばりついている。この場合、輪ゴムを指に引っ掛けて飛ばし、追っ払う。窓から体を乗り出し、できるだけゴキブリに近づいて狙うので、命中とはいかないまでもけっこう近くに着弾する。危険を感じたゴキブリが50センチほど移動したら、また同じ攻撃を繰り返す。輪ゴムがもったいないので、最終的には傘で突っついて追っ払う。
なんか気配を感じて目をやったら窓の下枠に乗っかったゴキブリが触覚を動かしていたこともあった。このときはバタバタ大騒ぎしてなんとか外へ追っ払った。
夏の間、豪雨のとき以外は窓を開けっ放しにしているので、オレが気づかないうちにゴキブリは入り込んで、オレに知られることなく部屋から出て行ってるんだろう。
ゴキブリはドアの下の隙間からも侵入してくる。
夜遅く、そろそろ寝ようかと明かりを消して布団に横になる。
と、ドアのあたりになんか気配。
7、8ミリほど開いたドアの下の隙間を見ると、廊下の明かりをバックに恐怖のシルエット。
うわっ、ゴキブリだ!
黒い侵入者は、部屋の中の様子をうかがうように触覚をうごめかす。
対応をあやまると、部屋への侵入を許すことになる。
布団に寝たまま新聞紙をドアに投げつける、というのが最も簡単な対応だが、ドアに衝撃を与えた瞬間にゴキブリが暗い部屋の中に逃げ込む確率が高い。
そこでオレは起き上がって部屋の明かりを点け、新聞紙を棒状に丸めてドアに近づく。
体勢は、いざというときにすぐに動けるように中腰。
ヤツがいたあたりを狙って、新聞紙をバシっと叩きつけるつもりだ。
ヤツはドアの下の隙間にいるので、直接叩くことはできないが、新聞紙によって部屋への進入経路はふさがれることになるのだから、必然的にヤツは廊下側へと逃げ出すはずだ。
もしヤツがドアの下で、左右どちらかに移動していたら……。
だとしても、超ローアングルのゴキブリ目線でドアの下の隙間を覗き込む勇気なんてない。
きっとヤツはまだそこにいる。
オレは新聞紙で叩いた。
バシッ!
うわっ!
…もう、がっかり。
初出:2009年7月12日
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