オスカー・ワイルド
人間を善玉と悪玉に分けるなんて、ばかげてますよ。人間はね、魅力があるか退屈か、のどちらかです。
自分に魅力があることを疑わないヤツは、こういうことを言う。
出典:芸術のための芸術を提唱し、数々の小説、戯曲、詩、童話を残した世紀末唯美主義者、オスカー・ワイルド(1854~1900年)の「ウィンダミア卿夫人の扇」(『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』西村孝次訳/新潮文庫)より。作品だけでなく実生活にも芸術を持ち込み、珍奇なファッションをしたり自分の男色を認めるなど当時のイギリスの人々の道徳観を逆なでしたワイルドは、「『自分は天才を生活に注いだが、作品には才能を注いだにすぎない。』とジッドに語った」(『ドリアン・グレイの肖像画』川口兼夫編/時潮社)という。その結果が刑務所行き。2年で出獄するが、晩年は相当悲惨だったようだ。
初出:2008年5月15日