2013年9月12日木曜日

七五調の馬鹿15

近代以降その5
四月馬鹿 莫迦を愛してルドンの絵<花>に禁色の花花群るる
 伝統的な写実短歌を否定した前衛短歌のさきがけ、塚本邦雄(1920~2005年)の昭和36年の歌集「水銀伝説」(『現代短歌大系7』大岡信・塚本邦雄・中井英夫編/三一書房)より。莫迦は、愚を意味する僧侶の隠語で、その当て字が馬鹿。ルドンは、フランスの画家オディロン・ルドンのこと。禁色は、皇族以外は着用を禁じられた色のこと。というわけで、わからない語句はなくなったが、わからん。
四月馬鹿真顔さらして花のもと
 臼田亜浪(うすだあろう)(1879~1951年)が20歳から69歳までに詠んだ句の中から弟子たちが選んで編んだ句集「定本亜浪句集」(『現代俳句大系 第七巻』富安風生・水原秋櫻子・山本健吉監修/角川書店)より。『現代俳句大系』の巻末に掲載されている年譜を見ると、大正7年「流行性感冒威を逞しうし一家枕を並べて病む」、大正9年「また流行性感冒に襲われ一家呻吟す」、大正10年「年頭流行性感冒と腫物に悩まされ臥床月余に及ぶ」とある。風邪をひきやすかったからか、寒さを感じさせる句を多く詠んでいる。
死ぬる馬鹿生きてゐる馬鹿四月馬鹿
 31歳の若さで世を去った斎藤空華(くうげ)(1918~1950年)の句を、死後、友人たちがまとめた「空華句集」(『現代俳句大系 第八巻』富安風生・水原秋櫻子・山本健吉監修/角川書店)より。肺結核にかかって死を間近にした斎藤は、「発病当初は闘病生活の辛さに一そ早く死を考え、又今でも病苦のつのる日はそう願ひます。(中略)でも人間の生命力は意外なくらいに強いものですね。死は来るでせうが、その時期は計れません」と記している。
初出:2008年9月1日

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