2013年2月28日木曜日

七五調の馬鹿1

江戸川柳その1
出典:『誹風柳多留』(山澤英雄・校訂/岩波文庫)、『誹風柳多留 拾遺』
※カッコ内に「初」や「二」などの数字のみあるものは『誹風柳多留』の篇数、「拾遺」とあるものは『誹風柳多留 拾遺』の篇数を示している。
いかだのり馬鹿馬鹿しくも野を戻り(二篇)
山から切り出して谷川に浮かべた木材を運搬するために筏に組んで下流に運ぶ筏乗り。その姿はなかなか凛々しいものだったろう。だが、木材を相手方に渡してしまえば、「帰りには宿なしとなる筏乗り」(江戸川柳)。林業が重要な産業だった時代のことで、なんか、女にモテて寝場所にも不自由しなさそうなんだけど。
馬鹿ばかり言って鼓を叩くなり(一一篇)
年の初めに家々を回って鼓を打ちながら歌い踊り、その家の繁栄を祝福する三河万歳の様子を詠んだもの。以前は正月になるとテレビ番組で、きらびやかというか派手というかキンキラの衣装を着た三河万歳の保存会か何かの方々が舞い踊る姿を見ることができたが、21世紀になって目にしなくなった。たぶん、いまでも続いてるんだろう。テレビに出ないだけで。
馬鹿なこと娘に金を蹴られ損(一三篇)
口説いた娘にことわられ、それでもめげずにアタックしたはいいが、結局は急所を蹴られてジ・エンド。これは蹴られた本人が詠んだ句ではなく、蹴られるところを見ていた誰かが詠んだ、という体裁の、想像で作った句。
鼻毛抜きかたくつかんで馬鹿な面(一三篇)
鏡を見ずに鼻毛を抜くとき、これといって表情に特筆すべき点はないが、鏡を見ながら鼻毛を抜くと鼻毛をよく見ようとして集中した間抜け顔になる。オレの場合。
どこへでもくっついて出る馬鹿亭主(一五篇)
そのうちピンでやっていけるようになるといいね。
初物のうちからきゅうり馬鹿にされ(一七篇)
「初物を食うと七五日生き延びる」と言われ、初鰹は江戸っ子に大人気だったのに対して、なぜきゅうりが軽んぜられたのか。という問いに対しては、「別に馬鹿になんかされてなかったんじゃねーの?」と答えておきます。
初出:2008年3月10日

馬鹿をめぐる名言 3

ソフォクレス
多数の愚者がいるところでは一人の賢者は破滅へ追いやられる。
多数の賢者がいるところでは暮らしたくない。
「多数の愚者が…」/出典:古代ギリシアの三大悲劇詩人のふたりめ、ソフォクレス(紀元前496年頃~紀元前406年)の悲劇の「断片」を集めた「ソポクレース断片」(『ギリシア悲劇全集11』木曾明子・久保田忠利・下田立行他訳/岩波書店)より。特に書くこともなく、次のエウリピデスへと続く。
初出:2008年3月1日

2013年2月27日水曜日

ダジャレにひと言2 浦島太郎

お題:ダジャレにひと言足して、なんか悲しいダジャレを作ってください。悲しくなくてもいいですし。
ここのカメに連れてこられて九日目
お願いです、ぜんぜん楽しくないので帰らせてください
帰ってすぐ死ぬか、死ぬまで竜宮城で我慢するか。
初出:2011年11月28日

2013年2月26日火曜日

脱腸手術入院マニュアル その1 裏目った腹筋運動

はじめに

fc2ブログ版『馬鹿の手帳』に、2008年3月15日から2008年6月6日にかけてアップしたネタです。ネタっつーか、実話です。

◇  ◇  ◇  ◇


裏目った腹筋運動

「80歳まで20本の歯を残しましょう」っていう歯科業界のキャンペーン広告を新聞だかなんだかで見て、80歳まではとても生きられないけど、とりあえず歯を丈夫にしなきゃという気になった。だいぶ前のことで、キシリトール・ガムなんて便利なものはないし、プラークコントロールっていう概念もなかったので(あったかも)、カルシウムをたっぷり摂る以外にない。
 嫌いじゃないし簡単だから、煮干を1本、2本と食い始めた。そして3本目。  ゴキっ!
 あまり口の中ではしてほしくない音がした。カラがまぎれこんだカキフライを食ったとき以上のイヤな感じ。
 舌で口の中をぐるっと探ると、左下の奥から2番目の歯があるべきところに舌先がスポっと入り込んだ。だいぶ前に治療してあった奥歯が、半分なくなっていた。
 いわゆる「裏目った」ってやつだ。相当ヘコんだ。のちに、半分残った歯が歯周病の原因となり、臭かったり痛かったり熱が出たりといろいろあった末に抜歯。このときの発熱と風邪のせいで、行く予定だったフジロックにもサマーソニックにも行けなくなった。
 今から10年ほど前(1998年)、39歳のときには、奥歯破損事件以上にヘコむ出来事があった。
 ハードに腹筋運動をしていたときのことだ。
 肉体改造計画が始動して2年目で、毎日まじめに腹筋運動をしていたが、ヘソから上の脂肪はそこそこ落ちているのに、ヘソから下がまるで女の人の下っ腹みたいにポッコリと出たまま。毛も生えている。
 ヘソ下に最も負荷がかかるにはどうすればいいかと、あっちを押したりこっちを引っ張ったりしていて、効果のありそうな体位というか運動を見つけた。まず、あおむけに寝て、上体を起こすと同時に両脚を上げる。いわゆるV字姿勢だ。ここから両手を太ももにあて、その力に逆らうように両脚を思いっきり跳ね上げる。こうすると、たるんだ下っ腹の中の腹筋がパッキーンと硬直するのがわかる。脂肪の薄皮(厚めの薄皮)があるので見た目にはそれほど変化していないが、でも、わかる。
 その状態をキープできる限界は5秒ほどだったけど、20回もやれば相当効果があるはず。 1回、2回とやって3回目。
 ボグっ!
 あまり急所まわりではしてほしくない音がした。急所まわりでしてほしいのは、もっと別の音だ。
 別の音の話はいいとして、左太ももの付け根のリンパ腺あたりに違和感がある。ちょっとふくらんでいる。痛みはない。でも、もしリンパ腺が破裂してリンパ液が流れ出してふくらんでいるのなら、かなりヤバいはずだ。リンパ腺だぞ。腺という字が関係した異変が起こると誰だってビビる。
 あんまり恐いので、見てみぬふりをしようかと思った。
 見て見ぬふりは得意だ。小学生の頃、真夜中に目が覚めるとオフクロが苦しんでいる。恐いので寝たふりをしたまま布団の中で固まっていた。間もなく、タクシーの運転手らしき人(一瞬だけ薄目で確認した)とオヤジがオフクロをかかえ起こして部屋から出て行く気配がした。ああ、ヤバいヤバいとビビって、そのくせそのうち眠ってしまった。大人になってオフクロに、「あのときオレ、起きてたんだ」と発表したら、すんげー冷たい目で見られた。
 左太ももの付け根のふくらみがリンパ腺関係じゃなくてどうやら脱腸らしいってことが3日後くらいにわかった。図書館で見た本には「手術をしなければ完治しません。絶対に!」と書いてある。小学校に上がる前に、体中のどこでも触ったところの皮がペロってめくれる「てんぽうそう」(たぶん「天疱瘡」と書く)とかいう病気にかかったことがあって、入院経験はこの1回だけ(小児結核で入院したとオフクロから聞かされていたが、自分には記憶がない。オレのおやじ方の親戚の結核のおっさんがついオレを抱いてしまったのが原因で、「それを止められなかったオレが悪がった」と言ってオフクロが複雑な顔をするのでカッコの中に入れておく)。手術はもちろん未経験だ。体にメスを入れることは別にどーってことなかったが、金がかかりそうなので、めちゃめちゃヘコんだ。
 それでもメンドくさいのですぐには医者に行かずに、ふくらみを手で押し込んで「このまま治ったりして」なんて淡い期待を抱いて、で、ちょっと腹に力が入るとボコって腸が出て、「やっぱムリに決まってんじゃん」ってことを1日に何度も繰り返していた。 結局、2週間くらいして新宿のJ病院に行った。

つづく

2013年2月25日月曜日

ひとり大喜利「ひとり喜利」/3本目の足…

ひょっとして、「3本目の足」って死語?
じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
文句なしの1本!
じゃあ、文句ありの1本はどんな1本なんだっつー話になりますが。
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
「ニギラレ」
『サトラレ』みたいな? 人によっては「ツママレ」だったりして。
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
「ぶら下がり続けてわかったこと」
自己啓発本のタイトル?
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
どちらもマイ茄子の評価が気になるでしょう。
謎かけ? ネーミングを考えてください。
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
風通しのいい場所や日の当たる場所では、あまり見かけませんね
文! それは文だから! ネーミングを!
█ お題 ひょっとして、「3本目の足」って死語? じゃ、「3本目の足」に代わるネーミングを考えてください。
回答
磯自慢。
あほ。それじゃ、また次回!
初出:2010年6月9日

2013年2月24日日曜日

馬鹿をめぐる名言 2

アイスキュロス
愚か者が幸運に恵まれると、重い荷物である。
取っ手が付いていると、少しは持ちやすい。
「愚か者が…」/出典:古代ギリシアの三大悲劇詩人のひとり、アイスキュロス(紀元前525~紀元前456年)が残した悲劇の「断片」を集めた「アイスキュロス断片」(『ギリシア悲劇全集10』逸見喜一郎・川崎義和・高橋克美訳/岩波書店)より。今日に伝わるギリシア悲劇は、当時上演されたギリシア悲劇のごく一部であり、大部分は失われた。ただ、後の劇作家・詩人たちによって一部分が引用され、また、詩劇が書き記されたパピルスのまさに断片が残されている。それらを集めたひとつがこの「アイスキュロス断片」だ。パピルスの実物が残っていたなんて、この本の口絵の写真を見て初めて知った。みなさん、パピルスは想像上の紙なんかじゃありませんよ。
初出:2008年3月1日

英語のことわざに登場する馬鹿たち What a fool we are! Part1

A fishing-rod has
a fool at one end
and
a fish at the other.
釣り竿の一方の端には魚が、
もう一方の端には馬鹿が付いている。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
Folly grows
without watering.
愚かさは、
水をやらなくても成長する。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A folly of one man is
the fortune of another.
ある人の馬鹿な行動は、
ほかのある人の幸せ。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A fool always rushes
to the fore.
馬鹿はいつだって
前に飛び出す。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A fool at forty is
a fool indeed.
40歳になって馬鹿なやつは、
本当の馬鹿。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A fool comes home
as wise as he went.
馬鹿が外出すると、
馬鹿のまま帰ってくる。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A fool is known by
much babbling.
馬鹿はしゃべりすぎるので馬鹿とわかる。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
A fool puts his finger
in a hole.
馬鹿は穴があると指を突っ込む。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
Fools are wise
as long as silent.
黙っているかぎりは馬鹿も賢い。
~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~
Fools have fortune.

Fortune favours fools.
馬鹿には幸運の女神がついている。

幸運の女神は馬鹿にほほえむ。
初出:2008年3月1日

2013年2月23日土曜日

ダジャレにひと言1 長生き

お題:ダジャレにひと言足して、なんか悲しいダジャレを作ってください。悲しくなくてもいいですし。
全国平均と比べると沖縄のお年寄りはけっこう生意気です
若い人はさびしがりゆ
そんな言い方したって沖縄っぽくならないから。
初出:2011年11月25日

馬鹿をめぐる名言 1

孔子
昔の頑固者は堅物かたぶつだったが、今の頑固者はへそを曲げるだけ。昔のばかは正直だったが、今のばかは嘘つきというものだ。
昔の筆者は正直だったが、今の筆者は耳にイボができている(当時。※これを書いているときに右耳にあったイボは今はない。そのかわり、別のイボが左耳にできた)。
「昔の頑固者は…」/出典:中国の春秋時代の大思想家にして儒教の祖、孔子(紀元前551~前479年)とその弟子の言葉をまとめた「論語」(『中国古典文学大系 第3巻 論語・孟子・荀子・礼記(抄)』木村英一・鈴木喜一他訳/平凡社)の「第十七 陽貨篇」より。他の本では「昔の頑固者は堅物……臍を曲げるだけ」のところを、「昔の顔役は折り目が正しかったが、今の顔役は見さかいなくたけり立つ」と訳している。「論語」に限らず昔々の文献は、同じ中国人でさえさまざまに解釈していて、どの説をとるかで、このように日本版でも解釈が異なってくるのだ。それはさておき、孔子と聞くと、しわくちゃの小さいじいさんをイメージするが、実は、「彼の身長は漢代の尺度の九尺六寸、約二・二〇メートル、人から『長人』と呼ばれたという説がある」(『中公バックス 世界の名著3 孔子 孟子』貝塚茂樹責任編集/中央公論社)。孔子が死んだ4世紀あとくらいまで彼の衣冠が保存されていて、それが相当でかかったようなので、たんなる伝説ではないみたいだ。
初出:2008年2月29日