2013年6月28日金曜日

ひとり大喜利「ひとり喜利」/草食系のライオンってどんなライオン?

はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
█ お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
自分のニオイを嗅いではガッカリしている。
おはようからおやすみまで、自分を見つめるライオン。
█ お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
いろんな動物を少しずつ食べたがる。
何を食ったって、結局は肉だけどね。
█ お題 お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
エサをひと口だけ残したりする。
痩せたいのか? 痩せねーぞ。
█ お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
小顔。
やわらかいものしか食えなさそう。虫とか。
█ お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
内臓を生で食うと吐き気が止まらない。
新鮮なんだけどねえ。
█ お題 はは~ん、あのオスライオン、本当は草食系だな。どんなライオン?
回答
狩らない。
狩れよ! ん、オスは狩らなくていいのか。モヤモヤしつつ、じゃ、また次回。
初出:2011年1月7日

2013年6月27日木曜日

ダジャレにひと言19 パンはパンでも

お題:ダジャレにひと言足して、なんか悲しいダジャレを作ってください。悲しくなくてもいいですし。
パンはパンでも食べられるパンがあればいいのだけれど(母・談)
ボクの食べるパンは今日もなしか。食べられるパンは、お母さんがいつもひとりで食べちゃうんだもの(息子・談)
ダブルバインドの一種なんだろうな。悲しいな。あれ? ダジャレが1コもねーぞ!
初出:2012年3月4日

2013年6月25日火曜日

松原荘殺人未遂事件 その2

台風vs安普請

 松原荘に住み始めて9か月ほど経過した1978年の秋、大型で強い台風が東京を直撃した。
 強い風と雨、さらに強い風と雨、さらにさらに強い風と雨、強い風と雨……が繰り返される。
 強い風に吹きつけられると、木枠の窓がガタガタ鳴る。
 バケツの水を窓に叩きつけているような強く多量の雨で、ガラスがバチン! ビリビリッという衝撃的な音を立てる。
 さらにさらに強い風に吹きつけられると、アパート全体がきしみながら揺れる。
 天井からの雨漏りは、雨漏り箇所数・水量ともに過去最大を記録した。
 イチゴが入ってたパックを何個がストックしておいたけれど、雨受け容器の数はぜんぜん足りない。水量が最も多い箇所には洗面器、ついで鍋や丼、そしてパックたちを配置し、「ポツ……ポツ……」程度の雨漏り箇所に関しては、いちいち容器は置かない。そんな数、ないから。
 天袋(押入れの最上段)の天井からも雨漏りがしている。ここはシカト。畳んだダンボールが突っ込んであるだけだから、濡れたっていい。
 濡れては困る布団と、もらい物の白黒テレビ、田舎から持ってきたカセットテープレコーダー(ラジオとCDの付いていないタイプ)、短波放送も聴けるラジオに、ゴミ収集袋をふわっとかける。レコードは、ビニール袋に入った状態でカラーボックスの中に立てているから、たぶん濡れない。レコードプレーヤーにはゴミ収集袋をかぶせなくても大丈夫。レコードプレーヤー、ないから。当時は、レコードとカセットテープを持って友達の家に出かけ、そこで録音してもらうというシステムを採用していた。

 一番の脅威は、やはり天井に張り付けたゴミ収集袋だ。
 その他の雨漏り箇所にトラブルがないか、新たな雨漏り箇所の発生はないか、窓は所定の位置にあるか、などに気を配りつつも、天井のゴミ収集袋を重点的に監視する。ゴミ収集袋を固定するためのガムテはかなり大げさなことになっており、厚くなったガムテの上から画鋲で補強している箇所もある。
 ゴミ収集袋の水はみるみる増えていく。20分に1回は排水しないと、水の重みでどこかが決壊する。ヘタをすると天井が抜けてしまう。

 そんなわけでオレは非常にピリピリしていた。なのに、、、
「吉田さ~ん、吉田さ~ん」
 1階に住んでいるバアサンがいつものようにオレを呼ぶ。
 松原荘に引っ越して以来、1日に最低でも2回、多いときで7、8回は繰り返されてきた吉田コールだ。
 松原荘は、階段の下に立った状態では2階が見えない。4段くらい昇ってから直角に右にカーブし、そこから10段ほど昇ると2階、という作りになっている。
 ので、バアサンは廊下の下に立ってから、階段にちょっともたれかかりつつ、曲がり角の柱から顔を出して2階を見上げながら「吉田さ~ん」と呼ぶ。
 またかよ、くっそー、うるせえなぁと小声で毒づきながら部屋のドアを開け、「何か?」と聞く、あるいは「何か?」という顔をするのがオレの日課であった。一度たりともシカトしたことはなく、ウルセー! と切れたこともなかった。オレ、おとなしいから。
 そんなオレが、一度だけバアサンを邪険に扱ったのが、この台風のときだった。
「吉田さ~ん、吉田さ~ん。インスタンメン作ったけど、食べる?」
 一応部屋のドアを開け、
「ごめんなさい、今、雨漏りが大変だから、あとで、すみませんけど……」
 と、過去に例のない強めの口調で言って部屋の中に戻った。
「吉田さん、吉田さ~ん!」
 いつも素直なのにナニをちょっと強気に出てんだよと思ったに違いないバアサンが再びオレを呼んだ瞬間、

 パッキ~ン!

 うわっ! 窓ガラスが~~~~~~!
「吉田さ~ん、吉田さんてば!」
 ああ、うるせ! それどころじゃねえ!
「今、窓ガラスが割れたんだって! 雨が吹き込んでくるんだって! あとにしてって!」  いかにも「怒って大声で話すことには慣れてない人」のぎこちないテンパリ方にイヤ~なものを感じたのか、バアサンはおとなしく引き下がってくれた。

 当時のガラスは割れやすかった。ちょっと割れたり、上から下まで長いヒビが入ったりしたぐらいでいちいちガラスを入れ替えていては金がかかってしょうがないので、セロハンテープで補修するのが普通だった。すぐ新しいガラスを入れる人もいたのかもしれないが、そういう人とは付き合いがなかった。
 割れたのは、中桟の上側の広い透明ガラス部分ではなく、下側のすりガラス部分(天地のサイズは約30センチ)。もともと斜めに入ったヒビにセロハンテープを貼っていたのだが、ガラスの上端と右端には少し隙間があいていた。で、斜めに入ったヒビの左側は底辺の長い台形。一方、右側は底辺の短い台形なので、ガラスが下端のみで木枠に固定されているということになる。そりゃ強風に抵抗できるわけがない。
 なお、割れて部屋の中に落ちたガラスの面積は以下のとおり。
 (上底+下底)×高さ÷2
=(40センチ+5センチ)×30センチ÷2
=675平方センチ
 平方センチで面積を書いても、まるでピンとこないね~。

つづく

2013年6月24日月曜日

馬鹿をめぐる名言 18

ゲーテ 1
馬鹿な人間と利巧な人間とは、どちらも怖くない。半愚者、半賢者というのが、最も危険である。
 70点。
馬鹿者どもにかつぎあげられた才人をみると、何といっていいか、もはや言葉もない。
 言うべき言葉は、「オレのこともホメろよ」。
賢明な人間がまちがわなかったら、愚者は絶望するだろう。
 難癖をつけるのが好きなヤツなら、間違わないことにも難癖をつけるのに。
出典:「ゲーテ格言集」(『ゲーテ全集11』大山定一他訳/人文書院)より。ゲーテ(1749~1832年)は、ドイツが生んだ最も偉大な詩人・作家であり、シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒涛)運動の担い手としてシラーとともに活躍。25歳のときに出版した「若きウェルテルの悩み」でベストセラー作家となって以来、82歳で「ファウスト」を完成させるまで数々の名作を残し、83歳のときに「もっと光を」の言葉を残して幸せな(想像だけど)生涯を閉じた。池内紀の『ゲーテさん こんばんは』(集英社)によると、ゲーテは若いころには年配者たちから冷たく扱われ、中年になると臆病者とみなされ、老年を迎えると若い革命派から攻撃の対象にされたが、どんなに悪口を言われても相手にせず、次の四行詩を残している。

  いかなるときも
  口論は禁物
  バカと争うと
  バカを見る
『ゲーテさん こんばんは』(池内紀著/集英社)より

 残念ながら、どの詩集に収められているかは調べがつかなかった。というか、ちょっとだけ調べて、すぐ挫折した。
初出:2008年3月20日

2013年6月22日土曜日

標語流行語キャッチフレーズ発掘その7

大正初期に流行した、「少し甘い」の略語
すこあま
寸評◎センスいらず。
参考資料:『日本俗語大辞典』(米川明彦編/東京堂出版/2003年)。
初出:2010年4月23日

2013年6月20日木曜日

七五調の馬鹿9

江戸狂歌・都都逸その1
道すがら馬鹿たくらだを見ぬのみぞ
     仏詣ぶっけいをせぬ利生りしょうなりける
『狂歌鑑賞辞典』(角川小辞典――36 鈴木棠三著)で見つけた狂歌。出典は「中明寺百首」(小倉親澄)とのこと。「たくらだ」は「馬鹿」という意味。仏寺に参詣していればいやでも馬鹿が目に入る。その馬鹿を見ずにすむのが、参詣しないことの御利益だというのは、いったい仏を信じているのやらいないのやら。って書くと、なんかソレっぽくない?
神々の留守をあづかる月なれば馬鹿正直に時雨ふるなり
「蜀山百首」(『大田南畝全集 第一巻』濱田義一郎編/岩波書店)に収められた蜀山人(しょくさんじん)の狂歌。「神々の留守をあづかる月」は神無月で、10月のこと。時雨は、涙を流して泣くことのたとえにも使われる言葉。ちなみに蜀山人は、江戸幕府の支配勘定である大田南畝が狂歌を詠むときの狂名で、ほかに四方赤良、四方山人などと名乗った。
酔いつぶれひとりぬるよのあくるまは
     ばかに久しきものとかはしる
 蜀山人の「狂歌百人一首」(『大田南畝全集 第一巻』濱田義一郎編/岩波書店)の中で見つけた、「右大将道綱朝臣」と題された狂歌。百人一首の「嘆きつつひとりぬるよの明(あく)るまはいかに久しきものとかはしる」(右大将道綱母)という、夜が明けるまでの時間がいかに長いかを詠んだ和歌のもじり。酔いつぶれた翌朝は遅くまで寝てるのが普通だろうけど、もじることを最優先しているから、そんなことはいいんだよ。
おろかなる人はぶつとも放屁とも
     しらではかなき世をやへひらん
 続いても蜀山人で、「万載狂歌集」(『大田南畝全集 第一巻』濱田義一郎編/岩波書店)から、「巻十六 釈教歌」の項にある、「放屁百首歌の中に」と題された狂歌。ぶつは「仏」と擬声語「ぶっ」のシャレ。「世をやへひらん」は「経るらん」と「屁ひるらん」のシャレ。意味は、あまり考えなくていいんじゃない?
初出:2008年5月30日

2013年6月19日水曜日

ダジャレにひと言18 桂朝丸(二代目桂ざこば)

お題:ダジャレにひと言足して、なんか悲しいダジャレを作ってください。悲しくなくてもいいですし。
吾が輩は猫でアローン
たとえば「猫をいじめますな」とかいうセリフで始まり動物をいじめてひどい目にあわせ、ときには「猫死にますな」とその動物を殺して締めくくる桂朝丸の「動物いじめ」(昭和40年代にブレイク。まもなく動物愛護団体に怒られて幕)という落語を思い出しました。それに倣いまして、「猫をいじめますな、猫を犬の群れの一番下に置きますな、猫、好き勝手に行動しますな、群れのみんながそれ見て“おっ?”ってな顔しますな、猫気にしませんな、群れのボス“コラっ!”っちゅうて猫を咬みますな、猫それでも好きなように生きますな、頭にきたボス本気で咬みますな、猫反撃しますな、ボス死にますな」
犬をいじめちゃった!
初出:2012年2月26日

2013年6月18日火曜日

松原荘殺人未遂事件 その1

はじめに

 FC2ブログ版『馬鹿の手帳』の「東京ドメスティック」というカテゴリーに2009年7月25日から2009年11月28日にかけてアップしたネタ。小説みたいなタイトルだけど、ノンフィクションです。

四畳半に雨が降る

 雨が空から降れば、雨水が屋根から天井に落ちる。それが木造アパートの2階だ。
 30年住んでいる今のアパートも、もちろん雨漏りする。雨が降ると天井に水滴の落ちる音がして、その部分が濡れてシミになる。雨漏りは通常1か所でおさまるが、長雨が続いたり大降りになったりすると3か所に増え、天井からポタポタと部屋の中に落ちることもある。そこに雨受けの洗面器を置く。相当の大雨でも、洗面器の底にちょっと溜まる程度だが、ネズミやゴキブリのフン、ホコリなどが積もる天井を伝った水なので、ちょっと茶色っぽい。おえ。

 今から30年以上前、1978年1月から約3年間住んだ明大前の松原荘の雨漏りは激しかった。
 雨が降り始めると、まず天井の2か所くらいから雨音が聞こえてくる。そのうち天井の数か所で音がするようになり、天井のいつもの1か所に水玉がぶら下がる。雨が降り続けばこの水玉は落下するが、雨がやんだり小降りになったりすれば水玉はへばりついただけでポタリとは落ちない。というか、屋根から天井に水滴が落ちた衝撃でへばりついた水玉は霧となり、その下で天井を見上げるオレの顔に降り注ぐわけなんだけど。
 大雨の日には、雨漏りの個所が増える。天井の決まった箇所からそのまま落下する雨漏りは、その下に雨受け容器を置けばいいので問題ない。面倒なのは、A地点で天井から顔を出した水滴がその場では落ちず、天井をツツーと伝って数十センチ離れたB地点で床に落下するケースだ。降り始めのうちはAからBへと天井を横に移動したのちに床へと落下していた雨漏りは、雨量が増えるとA―B間の任意の地点からポタポタと落下し始める。オレは、床がびしょびしょになるのがイヤなので、A地点の下からB地点の下まで器を一直線に並べて対応する。
 これで問題解決かというと、そうはいかない。夜寝るときにオレの頭を置くベストポジションが、B地点の真下なのだ。

██松原荘ひと口メモ
松原荘の2階には四畳半の部屋が4つある。というか4つしかなく、どの部屋も角部屋で、窓が2面にある。各部屋の出入り口は、建物の中心側にある。アパート全体がなんか傾いていて、特にオレの部屋の場合、窓側が高く出入り口が低くなっている。

 頭を高くして寝たいし、朝日に眠りを邪魔されたくないという条件を考慮すると、どうしてもB地点の下に頭がくるようなポジションで寝ることになる。
 頭を低くして寝ると最初は気持ち悪いだろうが、そのうち慣れる。でも、そうなると、必然的に頭は出入り口に近くなる。出入り口の板の間はイコールキッチンスペースであり、ゴキブリの世界。
 21世紀の東京において、室内に生息するゴキブリは小型が主流であり、デカくて黒いゴキブリは基本的に屋外に住んでいる。だが30年前の東京のアパートは各種ゴキブリがうごめくゴキブリックパークだった。夜、ラジオを消し電灯も消して寝ようとすると、カサコソカサコソ(移動音)、チュルチュルジュルジュル(すすり音)、バキバキガリガリ(齧り音)と恐怖のサウンドがすぐ近くで鳴り響く。だからB地点に頭を置きたいのだ。

 ある晴れた日、来るべき梅雨に備えて、A―B地点の線状の雨漏りに対するゾーンディフェンスを敷くことにした。天井に、四角いゴミ収集袋の四つ角をガムテで固定するってだけのことなんだけどさ。
 テキトーに張った天井のゴミ収集袋は、ふんわりした感じだった。夜、寝る前に、「これで、雨の日でも寝るときに頭の向きを変えずに済む」と考え、満足した。

 何日かたって、雨が降った。
 天井から雨水がゴミ収集袋にポタ……ポタ……ポタ……ポタと落ち始めた。
 砕け散った雨水がゴミ収集袋に線状に並んでいるのが透けて見える。
 ばっちりだぜい。
 ところが。
 はじめのうち独立していた雨水たちは、そのうち結びつき、ゴミ収集袋の中心に集まりだした。
 時間がたつにつれ、中心の雨水の量が増えていく。
 天井に張り付けたときにはフワっとしていたゴミ収集袋が、ピーンと張っている。
 こ~わい。

 そのうち水の量がラーメン丼の半分くらいになった。たぶん1リットル弱くらい。
 このままでは、四つ角に張り付けたガムテがはがれてしまう。
 オレはガムテを補強した。
 そして、もちろん考えた。水の量が丼1杯分に増える→さらにガムテで補強する→丼2杯分になる→これでもかってほどガムテだらけにする→丼4杯分に……なんてイタチごっこは、いつまでも続かない、ガムテでいくら角を補強したって、いずれ、ゴミ袋から水があふれ出るときがくるだろう、と。

 ある程度溜まったら、水を抜かなきゃいけない。水量が少ないうちに、いっぺん試しておくことにした。
 水を抜くのは、4辺のうちの、部屋の中央側の1辺。
 右手で洗面器を構え、左手に持った傘の柄でゴミ収集袋の真ん中をゆっくり持ち上げる。
 うわっ、洗面器のないほうに水が動いた~!
 ビビった~! ……ンフフっ。ちょっと笑ってしまう。
 傘の柄ではムリだな。
 イスの上に乗って洗面器を構え、左手の5本指で下から水溜りを支えながらゆっくり動かしたら、なんとか水を洗面器に導くことができた。けっこうデリケートな作業だ。
 ラーメン丼半分の量だから簡単に排水できたけど、2杯分を超えたら、たぶん相当スリリング。
 その日以降、たまにガムテの補強・張り替えが必要になったりはしたが、早め早めの排水を心がけたおかげで水難に見舞われることはなかった。

つづく

2013年6月17日月曜日

馬鹿をめぐる名言 17

リヒテンベルク
人間が歩くのを見たら、蟹はきっと、ずいぶん馬鹿げた歩きぶりだと思うだろう。
 カニは、横に歩く生き物の中では最もおいしい。
利口すぎるのは卑しいたぐいの馬鹿である。
 お利口さんすぎるって。好きでそうなったわけではないのに。
独創的な頭脳は、その中身がひろく知られるまでは単なる馬鹿である。
 独創的な馬鹿には笑顔が似合ってほしい。
出典:18世紀ドイツの物理学者G・C・リヒテンベルク(1742~1799年)の警句をまとめた『リヒテンベルク先生の控え帖』(池内紀編訳/平凡社ライブラリー)より。図書館でちょこっと調べたところ、彼の名は物理学辞典に「リヒテンベルク図形」の解説が200字ほどあるくらいで、物理学者としてはあまり有名ではない。むしろ、「人間の魂の一面を鋭く照射し、しかも諧謔とイロニーとにみちたアフォリズムによって知られる」「モーリッツやジャン・パウルとともに、リヒテンベルクはロマン派の夜と夢の世界の先駆的な開拓者として重要な位置を占めている」と『ドイツ文学史』(藤本淳雄・岩村行雄・神品芳夫・高辻知義・石井不二雄・吉島茂著/東京大学出版会)に書かれているように、文学史に残した足跡のほうがはるかに大きい。
初出:2008年3月17日

2013年6月7日金曜日

ひとり大喜利「ひとり喜利」/怖くないお化け屋敷でお客さん、なんて言った…

お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
█ お題 お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
回答
そっちが驚いてどうすんのよ!
デラックス来たら、そりゃ驚くよ。実物大だもん。
█ お題 お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
回答
このゴキブリ、本物だ。
お化けどころじゃなくなっちゃうね。
█ お題 お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
回答
その「鬼太郎パパ」という呼び方はやめてくださらんか。
お客さん同士で盛り上がらないで。
█ お題 お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
回答
「きのうもカレーのにおいがしてたね」
「この夏をカレーで乗り切るつもりなんだよ」
日常に引き戻されるよね。
█ お題 お客さんの声を聞いてると、このお化け屋敷って、あんまり怖くなさそう。お客さん、なんて言ってた?
回答
なんやねん! 午前の部といっしょやんけ!
誰かと思ったら、千原(兄)。じゃ、また次回。
初出:2010年9月4日

2013年6月5日水曜日

ダジャレにひと言17 ♪童謡「赤い靴」♪

お題:ダジャレにひと言足して、なんか悲しいダジャレを作ってください。悲しくなくてもいいですし。
♪アガリクス 生えてた 女の子♪
ねえキミ、そのアガリクスをボクが食べるから、見ていてくれないか?
ハイレベルな変態だ~い♥
初出:2012年2月18日

2013年6月4日火曜日

脱腸手術入院マニュアル 付記

2回目の脱腸手術に関するメモ

 右の脱腸手術はラクだった。入院した翌日にすぐ手術で、たしか6日後くらいには退院したと思う。2回目だけあって、インフォームドコンセントは簡略化。同じ病室に、ガン手術のじじい&文句ばっかり言っているじじいがいたので、看護婦チームはそちらに神経を集中して、オレのことはほとんどかまわない。ちょっと寂しかったが、まあ、しょうがない。
 前回の入院でけっこう可愛いなあと思っていた看護婦のなかのひとり(30歳代前半かなあ)が毛剃り担当になって、ヤバいかもと懸念したのだが、作業中にどうでもいいことをしゃべりまくることで邪念に付け入る隙を与えないという作戦が功を奏し、気がついたらあそこツルツル、のどカラカラになっていた。
 2回目の手術の担当医は若くて、看護婦に対して敬語を使っている。古株の看護婦(といっても20代後半くらいにしか見えない)は医者に対してタメ口。同性同士は、やっぱめんどくさそうだ。
 浣腸に関しては、前回のこともあって、浣腸液を注入されたあと、ガマンもクソもなく、最初からトイレの個室で待機していた。だが、これがよくなかった。やはり、病室である程度ガマンし、それからトイレに向かい、個室の前で耐え、それから入室、さらに便座に座ってガマンし、開放、という手順を踏むべきだと思った。というのも、“すべてを出し切った”感が得られなくて、脊髄に麻酔注射を打たれるまで、腸にやつらが残っている感じがしてしょうがなかったんだよね。結果的には大丈夫だったけどさ。
 手術自体は、前回と変わりない。担当医は若いけど、患者に不安を感じさせるような言動はなかったし、以前世話になったT先生が補佐していたし。手術後半で、「あれ? 麻酔をしているはずなのに足の指が動く!」と、ほんのちょっとだけビビって、手術が終わった直後に先生に、「足の指が動くんですけど」と訴えた。担当医は、動いているオレの足の指を見て無言だったが、T先生が、「痛みは感じますか」と聞くので、「いーえ」と答えたら、「平気ですよ」と言ってくれた。たしかに、平気だった。

 手術後、麻酔がさめるのに備え、ガマンせずに痛み止めの薬を飲んでガマンせずに痛み止めの座薬を入れてもらったおかげか、2度目の手術の夜は、だいぶラクだった。
 今回の担当医はあまり抗生剤を使わない方針ということで、点滴は手術翌日の午前中で終わり。それでも、前回よりも早いペースで痛みは引いていった。ウルトラマンの管抜きはしっかり見学したけれど、特に面白くもおかしくもなく、先から管が抜けるという、ただそれだけのことだった。想像と現実とのギャップって大きいものですね。
 最後に。タイトルに「マニュアル」って付けたけど、10年も前の話だし、これから脱腸手術をする人の参考にならなくて、ごめんね。

(完)
初 出:「馬鹿の手帳」(2008年3月15日~6月6日)

2013年6月3日月曜日

馬鹿をめぐる名言 16

ヴォーヴナルグ
偉人たちが大きなことをくわだてるのは、その事柄が偉大だからである。ばか者たちが大きなことをくわだてるのは、それをたやすいことだと思いこむからである。
 西川きよしは大きなことを企てない。
われわれは愚かにも自分で思ってもいないことを他人に説得できると信じている。
 そんなことを言われても詐欺師の信念は揺るがない。
短気にせよ、高慢や、貪欲にせよ、だれでも自分の性質のなかにあやまちに誘う不断のきっかけを宿していないひとはいない。そしてそのあやまちが大事にいたらずにすむとすれば、それは単に運がいいからなのである。
 22歳から52歳までの30年、野外生活者にならずに6畳ひと間のアパートに住み続けられたのも、やはり運がよかったからとしか言いようがない。


防犯上、安全性が高いと言われる内開きのドア。
でもヤワなシリンダー錠なので、ガツンとなぐると開いちゃうんだよね。


左は、コンパクトなキッチンというか、ガス台を置くためのへこみ。
押入れは上段のみ。隣の部屋の押し入れは下段のみだ。


オレが引っ越してきた1981年の春にはまだ築2年だった
風呂なし便所共同の6畳ひと間は、
2011年秋にはこんないい感じの古び方に。
まだまだ住める状態ではあるんだけど、
大家さんの高齢と、アパートの地上権の期限切れにより、
取り壊しが決定。
Google Earthの衛星写真を見たら、
おしゃれっぽい屋根の建物に変わっていた
(2009年撮影のストリートビューではまだ
小汚いアパートを見ることができる)。
「偉人たちが大きなことを…」「われわれは愚かにも…」「短気にせよ、高慢や、貪欲にせよ…」/出典:18世紀フランスのモラリスト(人間観察者)、ヴォーヴナルグ侯爵(1715~1747年)の「省察と箴言」(『世界人生論全集 9』河盛好蔵他編/生島遼一・竹田篤司他訳/筑摩書房)より。同じフランスのモラリスト、ラ・ロシュフコーに劣らず名言集の常連ではあるが、ロシュフコーの著作が岩波文庫で簡単に読めるのに対して、ヴォーヴナルグの著作『一天才の手記』(岩波文庫)は岩波ブックセンターにもなければ古本屋でも見つからない(当時)。
初出:2008年3月14日