2013年8月20日火曜日

東京ドメスティック日常編 1

まえがき

 貧しいながらも楽しい東京ひとり暮らし時代に書いたものです。



満足度100点のゴキブリ駆除剤って…

 オレのアパートだけなのかどうかわからないけれど、1990年代に突入したあたりから、部屋に住み着くゴキブリが数ミリからせいぜい2センチ程度の中・小型ばかりになった。
 部屋の中でデカいゴキブリを見る頻度が減っていった当時は、「小型のゴキブリのほうが実はヤバい。だって、寝ている人の耳の穴に入り込んで卵を産み付け……」というまことしやかな噂話もあって、ちょっとビビったりもした。でも、実際に目の前でデカい黒ゴキブリにカササササササと動き回られるよりまし。朝、目を覚ましとりあえずジュースでも買いに行こうと思って足を通したジーパンからデカい黒ゴキブリが飛び出してくることもなくなったし。

 それから数年後、小型のゴキブリだっていないにこしたことはないということで、ゴキブリ駆除剤を使い始めた。まずはホウ酸ダンゴ系、次の年はヒドラメチルドン配合のコンバット、さらに次の年にはまた別のホウ酸ダンゴ系を試した。どれもけっこう効果はあったのだろうが、満足できなかった。100匹のゴキブリが10匹に減ったら、その駆除剤は優秀といっていいんだろうけど、こっちはゴキブリゼロを期待してるわけだから。
 そうはいっても、100匹のゴキブリより10匹のゴキブリのほうが断然マシなので、毎年、買いに行った日に安売りしているゴキブリ駆除剤を使ってきた。
 ある年ドラッグストアで、「ゴキブリの薬ってどれを使っても、あまり効果ないけど」って言ってみた。特に役に立つ情報がもらえると思ったわけでなく、世間話のつもりで。そしたら、「ひとつの駆除剤が、すべての種類のゴキブリに効果があるというわけではなくて……」だって!

 可処分所得の極端に低いオレだが、ヤケクソになってゴキブリ駆除剤3種を一気に購入してやった。エサを食べたゴキブリが巣に戻って巣のゴキブリまで殺す系2種(ヒドラメチルドンの「コンバット」とフィブロニルの「ブラックキャップ」)と、ホウ酸ダンゴ系1種(どれでも効果は変わりないと思うけどオレの場合は「アースゴキブリホウ酸ダンゴ」)の計3種。2000円近く使った。家計簿をつけるとしたら、この2000円の費目は「贅沢品」になるだろう。
 6畳ひと間のそこらじゅうに3種のゴキブリ駆除剤を設置した結果、満足度は100点! 流しの下の扉を開けたとたん黒い影がササッと動くこともなければ、朝起きて、布団の上でオレに押しつぶされたゴキブリの遺骸を見ることもなくなった。

初出:2009年7月12日

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