江戸川柳その3
出典:以下は、岩波文庫の『誹風柳多留』『誹風柳多留 拾遺』(山澤英雄・校訂)には収録されていない「誹風柳多留」の後期の句で、『江戸川柳辞典』(浜田義一郎編/東京堂出版)に拠った。
馬鹿は尻利口は目から鼻へぬけ(三三篇)
「目と鼻の先」という表現があり、これは距離が非常に近いことのたとえ。「目から鼻へ抜ける」という表現は、目からインプットされた情報がごく短時間で処理されて鼻へと抜けていくということであるから、頭の回転が速く機転が利くことをいう。ところが馬鹿は、目から遠く離れた尻へ抜ける(「尻へ抜ける」には聞いたそばから忘れていくという意味もある)というのだから、ずいぶん時間がかかるものだ。などと真面目に解説すべきたぐいの句でないことは確かだ。
此雪に馬鹿ものどもの足の跡(七九篇)
源義経ゆかりのみちのくは平泉・中尊寺を詠んだ芭蕉の名句「夏草や兵(つわもの)共がゆめの跡」の本歌取り。雪見に出てはしゃいでいる江戸っ子の様子が目に浮かぶ。なんつって、実はあまり目に浮かんではいない。
あとのくしゃみを待っている馬鹿なつら(八八篇)
出そうで出ないくしゃみを今か今かと待っている顔は、来るべきくしゃみの衝撃に表情筋が備えている顔である。それはいいとして、くしゃみが出る瞬間に口を大きく開けていると「はっはー」という音がするだけで破裂音は伴わない。逆に固く口を閉じていると鼻の穴から多量の空気と場合によっては鼻汁が一気に出る。ぜひ試してほしい。
人間万事さまざまな馬鹿をする(一一七篇)
たとえば?
初出:2008年3月29日
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