「絶対領域」を獲得した中年オヤジ
看護婦が、使い終えた2本目のカミソリを置いた。
次の3本目が動き出した途端、ウルトラマンは「シュワっチ」とも言わずに無言のままみるみる巨大化し、ウルトラの父はバツの悪そうな表情で頭をポリポリ……。
とはならなかった。
「あとの剃りにくい部分は、ご自分で剃ってくださいね。エレベーターの裏側に個室の浴室がありますから、ドアにかけてあるホワイトボードに都合のいい時間と名前を書いておいてください。その時間は使えますから。鏡でよく確認して、剃り残しのないようにお願いしますね」
と言って看護婦はオレに3本目のカミソリをよこした。
オ、オレは助かったのか?
このときの気持ちを表現すると、「痛し痒し」。
……違うかもしれない。
つるつる卵肌にくっついた細かい毛をタオルできれいに拭き取ってもらってから、パンツをはいた。オレの太ももはけっこう剛毛なので、ヒザ上20センチを境にごわごわ部分とつるつる部分が見事なコントラストを見せている。遠くから見たら、ホットパンツにヒザ上までの黒いストッキングをはいた色白のコケティッシュなおやじだ。
夕食後、浴室で最後の仕上げ。高そうなカミソリだけあって、よく剃れるし痛くない。
剃り終えてから、言われたとおりに鏡で確認する。きれいさっぱりつるっつるだ。ウルトラマン自身は大人だが、でも子供。大人なのに子供だ。
クレヨンしんちゃんだったらウルトラマンを引っ張ったりして遊ぶのだろうが、オレはしない。大人だから。
ためしに、剃っていない体の後ろ側を鏡に映してみる。
ふーむ、毛の生えた立派な大人だ。
今度は前を映す。ワー、つるつる、子供だ。
もう1回後ろ、もじゃもじゃ、大人!
前、つるつる、子供!
もじゃもじゃ!
つるつる!
もじゃもじゃ!
つるつる!
もじゃ!
つる!
もじゃ!
つる!
……。
こうして剃毛の日曜日は更けていった。
看護婦が、使い終えた2本目のカミソリを置いた。
次の3本目が動き出した途端、ウルトラマンは「シュワっチ」とも言わずに無言のままみるみる巨大化し、ウルトラの父はバツの悪そうな表情で頭をポリポリ……。
とはならなかった。
「あとの剃りにくい部分は、ご自分で剃ってくださいね。エレベーターの裏側に個室の浴室がありますから、ドアにかけてあるホワイトボードに都合のいい時間と名前を書いておいてください。その時間は使えますから。鏡でよく確認して、剃り残しのないようにお願いしますね」
と言って看護婦はオレに3本目のカミソリをよこした。
オ、オレは助かったのか?
このときの気持ちを表現すると、「痛し痒し」。
……違うかもしれない。
つるつる卵肌にくっついた細かい毛をタオルできれいに拭き取ってもらってから、パンツをはいた。オレの太ももはけっこう剛毛なので、ヒザ上20センチを境にごわごわ部分とつるつる部分が見事なコントラストを見せている。遠くから見たら、ホットパンツにヒザ上までの黒いストッキングをはいた色白のコケティッシュなおやじだ。
夕食後、浴室で最後の仕上げ。高そうなカミソリだけあって、よく剃れるし痛くない。
剃り終えてから、言われたとおりに鏡で確認する。きれいさっぱりつるっつるだ。ウルトラマン自身は大人だが、でも子供。大人なのに子供だ。
クレヨンしんちゃんだったらウルトラマンを引っ張ったりして遊ぶのだろうが、オレはしない。大人だから。
ためしに、剃っていない体の後ろ側を鏡に映してみる。
ふーむ、毛の生えた立派な大人だ。
今度は前を映す。ワー、つるつる、子供だ。
もう1回後ろ、もじゃもじゃ、大人!
前、つるつる、子供!
もじゃもじゃ!
つるつる!
もじゃもじゃ!
つるつる!
もじゃ!
つる!
もじゃ!
つる!
……。
こうして剃毛の日曜日は更けていった。
つづく
0 件のコメント:
コメントを投稿