カール・クラウス
専門家はおしなべて、おのが専門においては馬鹿であるとのジャン・パウルの言葉を好んで引用する男がいた。彼はおしなべてどの専門にも通じていた。
広く、深く、馬鹿。
鏡よ 壁の鏡よ 教えておくれ
この世でだれが 一等お馬鹿?
この世でだれが 一等お馬鹿?
鏡は当然こう答える。「2番目があなた」。
出典:このちょっとあとで紹介するヴィトゲンシュタインや、ずーっとあとで登場するエルヴィン・シャルガフにも影響を与えたオーストリアの批評家・詩人・作家カール・クラウス(1874~1936年)のアフォリズムを集めた『カール・クラウス著作集5 アフォリズム』(池内紀編訳/法政大学出版局)より。25歳のとき(1899年)に創刊し、死の年まで続けた個人雑誌「ファッケル」(炬火)でクラウスは、大新聞が見て見ぬフリをしてまったく扱わないネタを取り上げて、大胆に告発し容赦なく糾弾した。そのため、多くの敵を作る一方で、ヴァルター・ベンヤミンなど進歩的な知識人からは熱い支持を受けた。だが晩年、ナチスの台頭を糾弾した号の刊行をやめたことで、それまで好意的だった人々からも中傷を受け、間もなくこの世を去った。ちなみにジャン・パウル(1763~1825年)は、一時期ゲーテと肩を並べるほどの人気を誇ったドイツの小説家・詩人。
初出:2008年6月25日
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