2013年11月25日月曜日

馬鹿をめぐる名言40

ポール・ヴァレリー 2
 愚鈍とはひとに見えるものが見えないことである。非力とはひとにできることができないことである。
 が、誰も見えるもののいない場所、またできるもののいない場所には、愚鈍も非力もありようがない。
 二つ目の段落の冒頭の「が」は逆説の接続詞である。
 が、「が」じゃなくて「で」でもいいし、なくてもいい。
 人間が申し分なく堅固に愚鈍なとき、論理的価値の差異に気がつきさえしないとき、反対論の手妻に気附かぬとき、素朴で無邪気な印象を真正さ等々と混同するとき、かれのうちなる意見は信念と命名される。
“信念の人”と呼ばれている人が、ちょとムッとする。
出典:お察しのとおり今回もヴァレリーで、『ヴァレリー全集 9 哲学論考』(落合太郎・鈴木信太郎・渡辺一夫・佐藤正彰監修/筑摩書房/1967年初版・1978年増補版発行)に収められた「残肴(アナレクタ)」(寺田透訳)より。
初出:2008年6月11日

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