歯って大切~!――後編
歯医者に行くしかないと腹をくくってから1か月が経過した2010年の6月なかば。親知らずのすき間から歯間ブラシを抜いて、いつものように先端部分を水できれいに洗おうとしたら、先端がなくなっていた。
なくなった先端が、どこかにポロっと落ちていればいいのに、と願って一瞬だけそこらを探してから現実を受け入れた。歯間ブラシの先端は親知らずのすき間に置き去りにされたのだ。
こうなったら歯医者に行くしかない。
そう心に決めてから2週間が経過し、相変わらず出血はあるけれども、特に症状が悪化することもなく、場合によっては、親知らずのすき間に歯間ブラシの先端が入っている人として生活していくという選択もアリなのではないかという考えもちらっとかすめる。ただそれも、歯間ブラシ1本まで、という限定付きであり、2本目はない。
7月5日。万事休す。2本目の置き去りが発生した。
観念して、歯医者に行くことに決めた。
ブリッジの中が虫歯になってたらヤだな、また歯を削るんかな、そうなったらブリッジは再利用できないよな、左上の親知らずは抜くことになるんだろうな、ヤだなこわいな、右上もついでに抜いたほうがいいんだろうな、などと1週間ほどくよくよした。
7月12日、前年の2月に予約したものの結局キャンセルした歯科医に電話を入れ、症状を説明したところ、「遅い時間でもよければ、今日、診て差し上げますよ」。
ということで、この日の夕方、さんざんぐずぐずして行くのを先延ばしにしていた歯医者の椅子でオレは口を開けていた。
まずは、左下奥のブリッジの診察。
ブリッジを支える歯は虫歯になってなかった。よし!
「歯をおおうのではなく、歯を削ってそこにブリッジをはめこむこういうやり方は、どうしても取れやすいんですよね」
と言いながら、ブリッジとブリッジを支える歯を診た先生は、
「幸い、虫歯になっていませんでしたのでね、歯とブリッジをそれぞれきれいに掃除してから付け直しますね」
歯を削ることもなく10~15分ほどで作業完了。
さて、左上の親知らず。
「あー、ほんとですね、ありますね」
軽く笑いながら先生は1本目を簡単に取り除いた。
2本目(すき間に置き去りにされた順番で言うと1本目)は、取り除きにくい奥にあるようだ。
撮影したレントゲンを見せてもらったら、ずーっと奥(上)に歯間ブラシが横向きになって入っていた。
「今、奥に水平になっているこれに対して、先ほど取り除いたものがこう垂直に入っていたわけです」
(丁字路か!)
2本目は、麻酔をかけてから取り除いてくれた。
「歯間ブラシでの掃除はおやめになったほうがいいですね」
オレは、歯列の外側から内側に向かって歯間ブラシを差し入れていたつもりだったが、実際は、上(歯の付け根)に向けて歯間ブラシを突っ込んでいたらしい。どうりで貫通しないはずだ。
このあと、すべての歯の歯周ポケットの深さをチェックしてもらい、
「きれいに磨けてますね」
と褒められた。ホメられた。ほ・められた。
なんか終わりが近づいてる感じがしたので、親知らずは抜かなくていいんですかと尋ねた。
「ご希望なら抜いて差し上げてもかまいませんよ。ただ、生えている方向は横向きですが、きれいに磨けてますし虫歯にもなってませんのでね、あえて抜く必要はありませんね」
てっきり抜かれるもんだと思って、おじけづいてたよ~。
以後、歯にまつわる懸念がまったくない生活を送るオレ。
うふふ、歯磨きの手間もずいぶん減った。
♪ラララ~、オレの歯♪
♪ルリラ~、ロレの歯♪
そして8月2日。
機嫌よく歯を磨くオレの口から何かがこぼれ落ちた。
床にころがっているのは歯。
30年前に7万円で入れた前歯の差し歯。
はー。いっつもこうだよ。
初出:2010年8月4日
歯医者に行くしかないと腹をくくってから1か月が経過した2010年の6月なかば。親知らずのすき間から歯間ブラシを抜いて、いつものように先端部分を水できれいに洗おうとしたら、先端がなくなっていた。
なくなった先端が、どこかにポロっと落ちていればいいのに、と願って一瞬だけそこらを探してから現実を受け入れた。歯間ブラシの先端は親知らずのすき間に置き去りにされたのだ。
こうなったら歯医者に行くしかない。
そう心に決めてから2週間が経過し、相変わらず出血はあるけれども、特に症状が悪化することもなく、場合によっては、親知らずのすき間に歯間ブラシの先端が入っている人として生活していくという選択もアリなのではないかという考えもちらっとかすめる。ただそれも、歯間ブラシ1本まで、という限定付きであり、2本目はない。
7月5日。万事休す。2本目の置き去りが発生した。
観念して、歯医者に行くことに決めた。
ブリッジの中が虫歯になってたらヤだな、また歯を削るんかな、そうなったらブリッジは再利用できないよな、左上の親知らずは抜くことになるんだろうな、ヤだなこわいな、右上もついでに抜いたほうがいいんだろうな、などと1週間ほどくよくよした。
7月12日、前年の2月に予約したものの結局キャンセルした歯科医に電話を入れ、症状を説明したところ、「遅い時間でもよければ、今日、診て差し上げますよ」。
ということで、この日の夕方、さんざんぐずぐずして行くのを先延ばしにしていた歯医者の椅子でオレは口を開けていた。
まずは、左下奥のブリッジの診察。
ブリッジを支える歯は虫歯になってなかった。よし!
「歯をおおうのではなく、歯を削ってそこにブリッジをはめこむこういうやり方は、どうしても取れやすいんですよね」
と言いながら、ブリッジとブリッジを支える歯を診た先生は、
「幸い、虫歯になっていませんでしたのでね、歯とブリッジをそれぞれきれいに掃除してから付け直しますね」
歯を削ることもなく10~15分ほどで作業完了。
さて、左上の親知らず。
「あー、ほんとですね、ありますね」
軽く笑いながら先生は1本目を簡単に取り除いた。
2本目(すき間に置き去りにされた順番で言うと1本目)は、取り除きにくい奥にあるようだ。
撮影したレントゲンを見せてもらったら、ずーっと奥(上)に歯間ブラシが横向きになって入っていた。
「今、奥に水平になっているこれに対して、先ほど取り除いたものがこう垂直に入っていたわけです」
(丁字路か!)
2本目は、麻酔をかけてから取り除いてくれた。
「歯間ブラシでの掃除はおやめになったほうがいいですね」
オレは、歯列の外側から内側に向かって歯間ブラシを差し入れていたつもりだったが、実際は、上(歯の付け根)に向けて歯間ブラシを突っ込んでいたらしい。どうりで貫通しないはずだ。
このあと、すべての歯の歯周ポケットの深さをチェックしてもらい、
「きれいに磨けてますね」
と褒められた。ホメられた。ほ・められた。
なんか終わりが近づいてる感じがしたので、親知らずは抜かなくていいんですかと尋ねた。
「ご希望なら抜いて差し上げてもかまいませんよ。ただ、生えている方向は横向きですが、きれいに磨けてますし虫歯にもなってませんのでね、あえて抜く必要はありませんね」
てっきり抜かれるもんだと思って、おじけづいてたよ~。
以後、歯にまつわる懸念がまったくない生活を送るオレ。
うふふ、歯磨きの手間もずいぶん減った。
♪ラララ~、オレの歯♪
♪ルリラ~、ロレの歯♪
そして8月2日。
機嫌よく歯を磨くオレの口から何かがこぼれ落ちた。
床にころがっているのは歯。
30年前に7万円で入れた前歯の差し歯。
はー。いっつもこうだよ。
歯って大切~!・完
初出:2010年8月4日
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